終活とは?年代別の方や具体的な終活の内容について紹介

「終活って何から始めればいいの?」「いつから準備すれば間に合うの?」そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

終活という言葉は広く知られるようになりましたが、具体的に何をすればいいのか分からないという方も少なくありません。

そこでこの記事では、終活の基本的な意味から年代別のアプローチ、具体的な終活の内容まで、わかりやすく解説します。

終活とは何か?

終活とは「人生の終わりに向けた活動」を指します。遺された家族への負担を減らす目的で語られることが多いですが、終活は亡くなったときのための準備だけをするものではありません。

具体的には、遺言書の作成や財産整理だけでなく、これまでの人生を振り返り、残された時間をどう過ごすかを考えるのも終活の一部です。

むしろ、人生の最期を意識することで「今をより良く生きるための活動」と言えるでしょう。終活は決して暗いものではなく、残りの人生をより豊かに充実させて生きるための前向きな活動です。

終活が注目される理由

終活が注目されるようになった背景には、現代社会の変化があります。

個人の価値観が多様化し、昔のように家族や親族、地域で画一的に決められていた慣習が薄れ、個人の意思を尊重する時代になりました。

同時に、核家族化の進行により、家族が離れて住むことで、日常的なコミュニケーションの機会も減少しています。そのため、死後のことに限らず、医療や介護に関する希望も、事前に明確にしておく重要性が高まっています。

また、コロナ禍を経験したり大規模な自然災害による被害を目にしたりすることで、「死」を身近なものとして感じるようになった人も多いようです。

終活をしないリスク

終活を行わない場合、家族に多大な負担を残すリスクがあります。

最も深刻なのは財産関連のトラブルです。銀行口座・証券口座の存在が分からなかったり、不動産の分割方法で揉めたりといったさまざまなトラブルがあります。なかには、相続の手続きを始めようとして初めて故人の借金等が発覚するケースも少なくありません。

さらに、遺言書がなかったために、兄弟間や親族間で揉めることも珍しくありません。遺言書があっても争うケースもゼロではありませんが、きちんとした内容の遺言書があることで、無用な争いを未然に防げる可能性が高まるでしょう。

また、家族の精神的負担も見過ごせません。突然の病気や事故の際、延命治療はするのかや葬儀の形式など、本人の価値観や希望が分からないまま決断しなければならず、その選択によって後悔を抱えることも考えられます。

終活は、こうしたリスクを回避し、自分の意思を家族に伝える大切な手段でもあるのです。

終活はいつから始める?年代別の取り組み方

終活を始める時期に正解はありませんが、年代によって考え方や重点を置くべきポイントが異なります。

また、自分の年代だけではなく親の年代についても確認しておくことで、今するべきことが明確になるでしょう。

ここでは、40代から70代までの各年代においての終活への取り組み方を紹介します。

40代の終活

40代の終活は、主に親の終活サポートが中心となります。

親世代が60~70代に入り、実際に終活を始める時期と重なるためです。親と一緒にエンディングノートを書いたり、重要な書類の保管場所を確認したりすることで、自分自身の終活についても学ぶことができます。

また、自分の終活の基礎固めも重要です。生命保険の見直しや、将来の医療・介護方針について考え始める時期です。ただし、仕事や子育てで忙しい時期でもあるため、無理をせず、仕事と家族のバランスを考慮しながら進めることが大切です。

50代の終活

50代は周囲の人の病気や死に直面することが若いころと比べ増えるため、自分自身の終活について具体的に考え始める方も多いでしょう。親の終活を通して、必要なこと・不要なことの判断力や理解力も身に付くはずです。

また、子どもの独立や住宅ローンの完済など、ライフステージの変化に合わせた将来設計と老後資金の準備を本格化させる時期でもあります。

60代の終活

60代は本格的な終活準備のスタート時期です。とくに定年を迎え退職する場合は時間的な余裕ができるため、エンディングノートの作成・遺言書の検討・生前整理など、具体的な準備の開始に最適な時期と言えます。

まだ体力もあり、判断力も十分にあるため、重要な決断を下すのに適しているでしょう。また、配偶者と一緒に将来について話し合う時間も確保しやすくなります。

70代以降の終活

70代以降はより具体的で詳細な準備が必要になります。健康面での変化も大きくなるため、定期的な見直しの重要性が増します。作成した遺言書やエンディングノートの内容を定期的に家族と確認し、重要な書類の保管場所や緊急時の連絡先などを共有しておくことが重要です。

また、認知症のリスクも高まるため、判断能力があるうちに成年後見制度の利用についても検討する必要があります。

終活で取り組むべき5つの分野

1. エンディングノート・遺言書

エンディングノートは、自分の人生や希望、家族への想いなどを自由に書き留めるノートです。医療や介護の希望、葬儀の形式、財産の状況、家族へのメッセージなど、幅広い内容を記載できます。法的効力はありませんが、終活の第一歩として有効で、家族との話し合いのきっかけとしても活用できます。

遺言書は、財産の分配方法や相続に関する本人の意思を法的に有効な形で記した文書です。自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、法的効力があるため財産分配の指示などを確実に実現できます。

まずはエンディングノートから始めて、必要に応じて遺言書の作成を検討するのが一般的です。

2. 財産・相続関連の整理

財産目録を作成し、預貯金や不動産、保険などを明確にしておくことが相続トラブルの予防につながります。借金や保証債務などの負債も忘れずに記録しておきましょう。

相続税が発生する可能性がある場合は、事前に専門家に相談して対策を検討しておくと安心です。

3. 医療・介護についての意思表示

延命治療を希望するか、介護はどのように受けたいかなどを事前に明確にしておくと、いざという時に家族が迷わず判断できます。また、延命治療や介護について考えることが、この先の人生をどのように生きたいか考えるキッカケにもなるでしょう。

エンディングノートに医療・介護についての希望を明記したり、リビングウィル(生前意思表示書)として独立した文書を作成することも有効です。

4. 葬儀・お墓の準備

近年は一般葬だけでなく、家族葬や直葬、樹木葬など選択肢が多様化しています。自分の希望や予算に合わせて検討しましょう。

事前に葬儀社と相談したり、資料を集めたりして、自分の希望を明確にしておくことが大切です。

5. 生前整理

家財の整理や不要品の処分、デジタル遺品の整理のほか、将来的に自宅が空き家になることが想定される場合はその扱いについても検討する必要があります。

写真や手紙、思い出の品など、家族にとって価値のある物と、個人的な物を区別したうえで整理をすすめましょう。

終活の始め方・進め方

終活を始める時は、完璧を目指さずに「できることから」始めることが重要です。まずは「何が不安か」「何を大切にしたいか」を明確にし、エンディングノートに書き留めることから始めてみても良いでしょう。

また、家族との話し合いのきっかけ作りも大切です。「最近、終活という言葉をよく聞くけど、どう思う?」といった軽い話題から始めて、徐々に深い話ができるような雰囲気を作っていきましょう。

無理なく続けるコツ

終活は一度で終わるものではありません。年齢や体力・判断力に応じて優先順位を決め、段階的に進めていきましょう。

また、専門家のサポートを活用することで、複雑な手続きもスムーズに進められます。法的な手続きや複雑な相続問題については、無理をせず早めに行政書士や税理士などの専門家に相談しましょう。

費用について心配される方も多いですが、専門家への相談も、初回は無料で行っている場合が多いので、まずは気軽に相談してみることをおすすめします。

家族の反対にあった場合は、急がずに時間をかけて理解を求めることが大切です。無理に話を進めようとせず、終活の目的が「家族のため」であることを伝え、理解を得て徐々に進めていきましょう。

まとめ

終活は「死への準備」ではなく、「よりよく生きるための準備」です。人生の最期を意識することで、今をより大切に、より充実して生きるための前向きな活動であり、家族への愛情表現でもあります。そして何より、自分らしい人生の締めくくりを実現するための重要な活動なのです。

だからこそ、終活に「早すぎる」ということはありません。まずは、自分の想いや希望をエンディングノートに書いてみることから始めましょう。重要な書類がどこにあるかを家族に伝える。保険証書の場所を整理する。家族と将来について話し合う。こうした身近で小さなことから始めてみませんか。