エンディングノートは一度書いたら完了!と思っていませんか? 実はその考え、少し危険かもしれません。
せっかく時間をかけて書いたエンディングノートも、情報が古くなってしまっては、いざという時にご家族を困惑させたり、あなたの本当の希望が伝わらなかったりする可能性があるんです。
この記事では、エンディングノートの見直しの重要性と、効果的な見直し頻度・タイミングを具体的に解説します。
1. エンディングノートの見直し目安は「年に一度」
エンディングノートは、一度書いたら終わりではありません。最低でも年に1度は見直すことを強くおすすめします。定期的に見直すことで、内容が古くなるリスクを減らし、常に「今のあなた」の意思を反映させることができます。
年に一度の見直しを習慣にするためには、自分にとって区切りの良い日を決めておくのが効果的です。
たとえば……
誕生日: 自身の人生を振り返る良い機会になります。
年末年始:新しい年を迎えるにあたり、身の回りの整理と合わせて行うのもおすすめです。
結婚記念日やその他:大切な記念日など、忘れにくい日を選ぶのもいいでしょう。
決まったタイミングでエンディングノートを開くことを習慣にすれば、見直しが負担なく継続できるようになるでしょう。
2. 定期チェック以外にも!エンディングノートを見直すべきタイミング
年に一度の定期的な見直しに加え、以下のような人生の大きな変化があった際は、その都度エンディングノートを見直しましょう。
家族構成に変化があった時
家族は生活の中心であり、エンディングノートの内容にも大きく影響します。見直しのタイミングとその理由について、順番に紹介しましょう。
◆結婚、離婚、パートナーとの関係の変化
財産分与やメッセージの相手など、根本的な内容が変わる可能性があります。
◆子どもの誕生、独立
子どもへのメッセージや、教育に関する希望などが加わるかもしれません。
◆ご両親や兄弟姉妹の他界、介護が必要になった時
連絡先や、もしもの際の連絡網、親の介護に関する自身の意思などが変わるかもしれません。
見直す項目
- 大切な人へのメッセージ
- 連絡先
- 財産の相続に関する意向(内容が変わる場合は、遺言書もあわせて見直しましょう)
- ペットの世話に関する記述 など
健康状態に変化があった時
自身の身体状況に下記のような変化があった場合は、医療や介護に関する意思を見直してみましょう。
- 大きな病気をした、持病が悪化した
- 入院・手術を経験した
- 介護が必要になった、その可能性が出てきた
見直す項目
- 医療に関する希望(延命治療の有無、希望する治療方針)
- 介護に関する希望(自宅介護か施設か、希望する施設の種類)
- 服用中の薬やアレルギー情報 など
資産・財産状況に変化があった時
お金に関する情報は、変化が起こりやすい項目です。誤った情報のまま遺すと、不都合が起こることもあるため、下記のような変更があった際にはなるべくマメに書換えましょう。
- 預貯金や投資が増減した、新しい口座を開設した
- 不動産を購入・売却した
- 保険の加入・解約、内容変更があった
- 相続が発生した
見直す項目
預貯金、保険、不動産、有価証券などの一覧を最新の状態に保つ。
デジタル資産(ネット銀行、証券口座、仮想通貨、サブスクリプションサービスなど)のIDやパスワード管理に関する情報は、こまめに更新する。
生活環境や価値観に変化があった時
下記のような日々の生活の変化や、ご自身の内面的な変化も、エンディングノートに反映させましょう。
◆引っ越し、転勤、転職をした
緊急連絡先や、郵便物の転送先、会社の連絡先などが変わります。
◆大きな災害を経験した
災害時の連絡方法や避難場所の希望などを追記することも考えられます。
◆新しい趣味やライフワークを始めた
もしもの時に、遺した物をどうしてほしいかなどを記すのも良いでしょう。
◆死生観や大切にしたいことが変わった
人生経験を重ねる中で、死に対する考え方や、家族に伝えたいメッセージのニュアンスが変わることは自然なことです。葬儀やお墓に関する希望(形式、場所)なども見直しましょう。
3. 見直しを「面倒」にしないためのコツ
「見直しが重要だと分かっても、なかなかハードルが高い……」と感じる方もいるかもしれません。しかし、これから紹介するちょっとした工夫で、見直しを気軽に続けることができます。
完璧を目指さない
一度に全てを書き換えようとせず、気づいた点から少しずつ修正しましょう。完璧なエンディングノートを目指す必要はありません。
付箋や鉛筆を活用
後で変更する可能性がある部分は、鉛筆で書いたり、付箋を貼ってメモしたりしておくと、書き換えがスムーズです。
デジタルデータとの併用
パスワードなど頻繁に変わる情報は、デジタルで管理できるツール(パスワード管理アプリなど)を使い、エンディングノートには「どこに記載があるか」のみを記すのも効率的です。
義務として捉えない
エンディングノートは「義務」ではなく、自分の価値観と向き合う時間だと捉えてみましょう。
エンディングノートはアップデートする習慣をつけよう
エンディングノートは、一度書いて終わりではなく、あなたの「今」の意思と希望を反映し続けるものです。定期的な見直しと、人生の節目ごとのアップデートは、あなた自身の安心につながり、そして何よりご家族への最大の思いやりになるでしょう。
完璧主義にならず、気軽に、そして楽しく見直すことを心がけてみてください。