持ち家がある人は、自分が亡くなったあと、その持ち家をどうするか、悩みますよね?
特に、家を継ぐ人が誰もいない、あるいは未定の場合、どのタイミングで家を手放すべきか、売却するのか、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。また、今は元気でも、高齢の両親だけで実家に住み続けることのリスクを心配している子ども世代もいるでしょう。
そんな、持ち家や実家の「終活」に関するリアルな悩みについて、私たちに馴染みのあるアニメ『サザエさん』のキャラクターを登場人物として、家じまいについての理解が深まる本があります。
それが、『磯野家の家じまい』です。
「持ち家に住み続ける」ことの現実が垣間見える
▼ご紹介する本はこちら▼
署名:磯野家の家じまい
著者名:長谷川 裕雅
出版社:リベラル社
発売日:2025/2/26
波平さんとフネさんの老後をリアルに描く
本書は、アニメ『サザエさん』でおなじみの磯野家が舞台。子どもたちが独り立ちし、波平さんとフネさんの2人暮らしになった設定で物語が進みます。
長年住み慣れたあの家での暮らしが、年齢を重ねるとともにどのように変化し、どんな影響があるのかを知ることができます。
例えば、以下のような、高齢者だけで住み続けた場合に起こり得るさまざまなケースが紹介されています。
- 家の維持・管理が難しくなる:掃除や庭の手入れが億劫に
- 近所づきあいの変化:友人やご近所さんも高齢化・引越し
- リスクの増加:高齢者だけの住宅を狙った詐欺や空き巣
- 買い物環境の変化:三河屋さんのような御用聞きがいなくなる
これらの出来事は、すべての問題が磯野家で起こるわけではなく、ご近所さんに起こった話などのテイで語られるため、リアリティが増します。
馴染みのあるキャラクターだから、話が入ってきやすい
おそらく、私と同年代(40代)かそれ以上の年齢の人であれば、「サザエさん」をまったく見たことがない・知らないという人は少数派でしょう。
だからこそ、キャラクターや家の設定が細かく説明されなくてもイメージしやすかったのが、本書の最大の強みです。
浪平さんやフネさんの「思い入れのある家に住み続けたい」という自然な気持ちと、実際に生活を維持することの難しさをリアルに想像できる本でした。
- 住み続けることで起こり得ること
- どんな理由やきっかけで家を手放すことを検討し始めるのか
- 子どもは親がその家に住み続けることに対してどのような心配をするのか
これらの親と子の両方の視点が垣間見えるため、ご自身の終活だけでなく、高齢の親御さんとの話し合いのヒントにもなるはずです。
この本は、こんな人におすすめ!
『磯野家の家じまい』は、読み物として読むだけでも面白いと思うのですが、そのなかでもとくに、下記のような人におすすめです。
- 持ち家に住んでいて、継ぐ人がいない、もしくは未定の人
- 親が持ち家に住んでいて、将来家を継ぐ予定がない子ども世代
- 自分が死ぬまで今の家に住み続けられるか不安を感じている人
逆に、こんな人には不要かも……
持ち家ではなかったり、家を継ぐ人が決まっていたりという人にとって、必要性は低いかもしれません。
しかし、個人的には読み物としてシンプルに面白かったので、「自分の終活のため」でなくても、事例を知るのに良いと感じました。
そして、「子どもが継ぐから大丈夫」と思っていても、予定が変わることもあります。そのため、知っておいて損ということはないでしょう。
また、自分が住んでいる家ではなくても、両親や親族が高齢者のみで持ち家に住んでいる場合、どのようなことが起こり得るのかを知れる良い機会となるはずです。
持ち家に住み続けると起こり得ることを知るのに最良の1冊
『磯野家の家じまい』は、アニメ「サザエさん」に登場する波平さん・フネさん夫妻を中心に、高齢になって持ち家に住み続けることで起こり得ることが垣間見える本です。
特に、 持ち家にいつまで住み続けるべきか、最期まで住み続けることが現実的な選択肢なのかについて悩み、考えている人に特におすすめの一冊です。
私自身は40代で持ち家はありませんが、もともと家を継ぐ予定だった弟が諸事情により継がないことになったため、実家を継ぐことになりました。
いずれ継ぐ際、「自分が死ぬまで住み続けるだろうか?その場合はどうやって後片付けを手配すれば良いのだろう?」と考えていたのが、本書を手に取ったきっかけです。
持ち家に住み続けることでどのようなことが起こり得るか、波平さんとフネさんの話を通して、自分や親御さんの未来を考えるきっかけにしてください。
▼本書は、Kindle Unlimitedの読み放題対象となっています(2025年10月現在)。