「終活を始めるなら、まずは断捨離から」と考える人は少なくないでしょう。
しかし、いざ手をつけようとすると、気が重くなってしまうことはありませんか?
「終活」と「断捨離」は、イコールではありませんが、切っても切り離せないのが現実です。
そこでこの記事では、ご自身の終活、あるいは親御さんの片付けサポートにも役立つ、断捨離のポイントと「後悔しないためのルール」を紹介します。
勢いで捨てないで!断捨離で「後悔」しやすいもの
「断捨離」と聞くと、とにかくたくさん捨てた方が良いというイメージを持っている人も少なくないようですが、何もかも捨てるのが正解ではありません。
勢いに任せて片付けた結果、手放して後悔したという話もよく耳にします。
断捨離の結果、日常が不便になったり、取り返しのつかない後悔が残ったりしては本末転倒。特に以下の4つは、勢いで捨てないように注意が必要です。
・日常で必要なもの(過度なストック減らしで不便になることも)
・重要な書類(再発行が難しい権利書や契約書など)
・家族の思い出の品や持ち物
・二度と手に入らない物
「物を減らす」ことを目標にするのではなく、「今の自分に不要なものを手放しておく」という意識で取り組むことをおすすめします。
「また買えばいい」が通用しないケースも
断捨離のノウハウ本などでは、よく「本やマンガは必要になったらまた買い直せば良い」と書かれています。しかし、現実にはそう簡単ではないケースも。
手放した後に絶版になっていたり、電子書籍化されていなかったり。図書館にもなく、中古市場にも出回っていない……そんな「二度と手に入らない本」も存在します。
本や趣味のコレクションを手放す際は、一般論を鵜呑みにせず、「もし仮に2度と手に入らなくても、自分は困らないか?」を判断基準にすることをおすすめします。
終活・断捨離で失敗しないためのマインドセット
物を減らす作業に入る前に、ぜひ覚えておいてほしい「心構え」が下記の2つです。
1. 「要・不要の基準」は人によって違う
2. 家族の持ち物は勝手に処分しない
順番に詳しく解説しましょう。
1. 「要・不要の基準」は人によって違う
人によって「必要なもの」の基準は違います。
「1年以上使っていないものは捨てる」といった片付けでよく紹介される一般的な基準が、必ずしもあなたやご家族に合うとは限りません。断捨離の情報通りに処分して後悔することもあります。
マニュアルよりも「自分や家族にとって本当に必要か、心地よいか」という軸を大切にしましょう。
2. 家族の持ち物は勝手に処分しない
自分の片付けが進むと、どうしても家族(親や夫、子供)の持ち物が目につき、「なんでこんなゴミを溜め込んでいるの!」とイライラしてしまうのはよくある話です。
しかし、自分にとっては不要に見えるものも、家族にとっては宝物である可能性があります。勝手に処分して大きなトラブルになるのは避けたいところです。
以前、片付けのコンサルタントをしている知人から、こんな話を聞きました。
「家族の持ち物についてとやかく言う人ほど、実は自分の断捨離が中途半端なのを棚にあげていることが多い。だから私は『まずはご自身の断捨離に集中してください』と指導している」
まずは自分の持ち物と向き合うこと。その背中を見て、家族も自然と動き出すかもしれません。
私が実践して定着した「おすすめ片付けルール」2選
片付けにはさまざまな手法がありますが、私自身がいろいろ試し、失敗と成功を繰り返した上で「これは使える!」と定着した2つのルールを紹介します。
【ルール1】とっておく「容量」と置き場所を決め、増設しない
「ここに入る分だけ持つ」と決める方法です。このルールを心がけてから、我が家では物が極端に増えすぎることがなくなりました。日用品や洋服だけでなく、思い出の品の管理にも有効です。
▼ お子さんの作品の場合
お子さんが学校で作った絵や工作。すべて残すと収納を圧迫します。
ある友人宅では、子供ごとに「作品を飾るスペース」を設け、新しいものを飾りたい場合は、お子さん自身にどれを残すか選ばせ、古いものと入れ替えているそうです。入りきらなくなった作品は、写真に収めてから手放す。
これなら「選ぶ力」も育ちますし、家も散らかりません。
▼ 写真アルバムの場合
「写真はすべてデジタルで」という人も増えましたが、「手でページをめくりたい」という方もいるでしょう。
そんな方におすすめなのが、「ベストショット用アルバムを2冊だけ作る」という方法です。
1.これまでの写真から厳選したものを集めた「過去の1冊」
2.これからの写真を収めるための「未来の1冊」
この2冊(あるいは自分で決めた上限冊数)に入りきる分だけを厳選し、残りはデジタルデータとして保管します。もし上限を超えそうなときは、中身を再精査して入れ替えます。
「全部」ではなく「最高のもの」だけを残すことで、見返すのが楽しみなアルバムになるでしょう。
【ルール2】分類は「要・不要・保留」。保留も3年は置いてみる
よくある「要・不要・保留」の3分類。一般的な片付け術では「保留ボックスに入れたものは、1年使わなければ処分」と期限を切ることが多いです。
しかし私はあえて、「保留も3年はおいてみる」ことをおすすめします。なぜなら、1年で見直して手放した結果、数年後に「やっぱり必要だった」と買い直す経験があったからです。
また、断捨離を繰り返していると、不思議と「要・不要」の判断精度が上がっていきます。
一通り片付けた後、はじめは「保留」にしたものを見ると、当時は迷っていたのに「あ、これはもう役目を終えたな」と、すんなり手放せることがよくあります。
迷ったら無理に捨てずに保管してみるのも、心の負担を減らすコツです。
終活に断捨離は「必須」ではないけれど
「終活のために、完璧に断捨離しなきゃ!」と気負う必要はありません。
しかし、多すぎる荷物が遺され、その処分に疲弊するご遺族の話を耳にするのも事実です。実際、私の親族でも実際にそういった事例がありました。
普段から「余計なものを持たない」ように心がけていれば、晩年、体力が落ちてから大規模な片付けに追われることもなくなるでしょう。
まずは「断捨離しよう!」と大がかりに構えず、明らかにゴミとわかるもの、今の暮らしを窮屈にしている不用品を、ひとつ手放すところから始めてみてはいかがでしょうか。