40代を迎えて、ご自身の将来を見つめ直す機会が増えたという人もいることでしょう。また、両親の高齢化に伴い、介護や相続といった問題を身近に感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんななか、「終活」という言葉が頭をよぎることもあるでしょう。自分のことだけではなく、親のことも含め、終活について「した方がいいんだろうけど、何から始めていいかわからない」という人におすすめなのが『エンディングノート』です。
エンディングノートは、単なる「もしも」の備えではありません。それは、これからの人生をより豊かに、安心して生きるための素晴らしいツールなんです。
この記事では、エンディングノートの基本や具体的なメリット、そしてご両親の終活にも役立つヒントを紹介します。
エンディングノートとは?
エンディングノートとは、法的な拘束力はないものの、自分の希望や大切な情報を書き残すための個人的なノートです。「遺言書」が主に財産の分配を法的に定めるものであるのに対し、エンディングノートはあなたの「想い」や「願い」を伝えることに重きを置いています。
エンディングノートを書くことは、自分の人生を振り返るきっかけになります。これまでの人生を振り返り、現在の状況を整理し、そして未来への希望を明確にすることで、「今」をより意識して生きられるようになるでしょう。
また、自分が亡くなったときや介護が必要になったときの希望を記すことで、家族の不安を減らすことにも役立ちます。
エンディングノートに書く項目に決まりはありませんが、いざ書き始めようとすると、何から手をつけていいか迷うかもしれません。まずはどのような内容を盛り込むべきか、次の項目で具体的に見ていきましょう。
40代だからこそ書いておきたいエンディングノートの項目
40代の方におすすめしたい、エンディングノートの主な項目は以下の通りです。
- 基本情報
- 氏名、生年月日、連絡先など、最も基本的な情報を記載します。
- 医療・介護に関する希望
- かかりつけ医や病院の名前
- 延命治療の希望の有無(リビングウィル)
- 希望する介護施設やケアの方針
- 服用中の薬やアレルギー情報
- 資産・財産に関する情報
- 預貯金、保険、不動産などの一覧(具体的な金額は書かなくても大丈夫です)
- クレジットカード、証券口座、ローンなどの情報
- デジタル資産(SNSアカウント、ネット銀行など。ID・パスワード管理の注意点も忘れずに)
- 大切な人へのメッセージ
- ご家族やご友人への感謝の気持ち、伝えたいこと
- 残されたご家族にしてほしいこと・してほしくないこと
- 葬儀・お墓に関する希望
- 葬儀の形式(家族葬、密葬など)、参列してほしい人
- 希望するお墓の形式(永代供養、樹木葬など)
- 緊急連絡先
- 親族、友人、会社の同僚など、緊急時に連絡してほしい人のリスト
- ペットに関する情報
- ペットの種類
- 世話する際の注意点
- かかりつけ医
- もしもの時の世話の依頼先など
エンディングノートは親の終活にも役立つ?
自分の終活を考える中で、ご両親のことも気になる40代の方も多いでしょう。エンディングノートは、親御さんとの大切なコミュニケーションツールにもなります。
エンディングノートをきっかけに、親御さんの希望や考えを聞き出す絶好の機会です。
自分がエンディングノートを書き始めたことなどを伝え、その中での気づきやメリットをそれとなく伝えてみましょう。
その際、親にも書くことを強制するのではなく、あくまでも「やってみたら良いかもね」くらいの軽いスタンスで提案してみるなど、寄り添う姿勢が重要です。
興味を持ったら、書きやすいエンディングノート(文字が大きく書きやすいもの、項目がシンプルで分かりやすいものなど)を一緒に探してみても良いでしょう。
エンディングノートについてのよくある疑問
エンディングノートを書き始めるにあたって、よくある疑問にお答えします。
Q1:いつから書くのがベストですか?
A1:思い立ったときにすぐ書き始めてみましょう!「早すぎる」ということはありません。書くことで、自分の「今」を見つめなおしましょう。
Q2:市販のノートと手作りのノート、どちらがいいですか?
A2:どちらでもOKです。市販のものは項目が整理されていて便利ですし、手作りなら自由にカスタマイズできます。まずは書きやすいものから始めてみましょう。
Q3:全部書かないと意味がないですか?
A3:そんなことはありません。書きたいところから少しずつで大丈夫です。完璧を目指すより、まずは一歩踏み出すことが重要。後から追記や修正も可能です。
Q4:書いたノートはどこに保管すればいいですか?
A4:ご家族がわかる場所に保管し、存在を伝えておくことが大切です。
未来を整理し、今を生きる。エンディングノートという選択
エンディングノートは、決して「お別れ」のためのものではありません。自分の身の回りにあるものや亡くなってからの希望について考えることが、現状を見つめ直すきっかけにもなります。その結果、これからの人生をより豊かに、そして安心して生きることにもつながります。
一度に完璧に仕上げる必要はないので、まずは一度、取り掛かってみてはいかがでしょうか。